ミュシャ展を終えて

ミュシャの平和思想

 

先日ミュシャ展を観に、国立新美術館に行ってきました。

 

親が美術や工芸、料理が好きでその影響で何気にこういったものに関心を持ってきました。

 

今回は初めて数多くの「スラブ叙事詩」作品が日本にやってまいりました。

 

その中でも僕が惹かれた絵画がこれです

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菩提樹の下で行われるオムラディナ会の誓い」
1926-28年 油彩、テンペラ/カンヴァス 390×590cm
スラヴ文化の再興を求める会の集まり。しかし、20世紀頭に弾圧を受けてしまった。

mement-mori6.blog.jp

この「オムラディナ会の誓い」が自分にとって考えさせられた作品でした。

 

【解説】

スラヴ叙事詩の中でこの作品は現代、つまり19世紀後半から20世紀初頭のチェコを描いています。(そのまま現代を描くのではなく、前景の 「ルミール」 と 背景のスラヴィアは古代、または伝説ですが)
 チェコを支配していたオーストリアは1867年にハンガリーと手を組んでオーストリアハンガリー二重帝国となります。 これはチェコをはじめスラヴ系諸民族の抑圧が前提となっておりチェコでは急進的な青年チェコ党が誕生するなど対抗運動が起こります。
 この絵は1894年1月の青年チェコ党員68人が逮捕されたことを踏まえ、青年たちが古代の伝説にならってスラヴ菩提樹の下でスラヴィアに宣誓をしている場面です。スラヴィアへの青年の宣誓は、同じ頃に制作したプラハ市民会館の壁画でも描いています。 
 「スラヴ叙事詩」 は未完成だとよく言われます。それは完成後もミュシャが手を入れ続けていたこと、この絵で宣誓する青年たちの顔が描かれてないためです。実際、完成後初となる1928年プラハのスラヴ叙事詩展にはこの作品を除く19点だけを公開しました。
 「スラヴ叙事詩」 は全体に象徴的な描き方をしています。しかし、登場する人物はどれもひとりひとりを特定できるほどリアルに描いているのに この作品だけ顔を描いていないのは、人物の特定をミュシャが避けたからだと考えられます。 スラヴ叙事詩が発表された当時政治家として活躍中の人物も含まれていました。

ミュシャを楽しむために:スラヴ叙事詩、スラヴ菩提樹の下で宣誓する青年たちより。

 

こんな説明があるのですが、僕がパッと見たときに感動したのは仏教を象徴する「菩提樹」の元にたくさんの民族、様々な時代の人々が輪を作って舞踊しているということです。

 

上記の解説を聞くと、「ああそうなんだ」と思うのですが、僕はこれを観てミュシャの平和思想を感じることができたような気がします。

 

この当時はナチスの侵攻や世界大戦の終結と始まりなど混沌としていた世界だった。それでもミュシャが願い、人々に込めた作品がこの「オムラディナ会の誓い」なのではないか。

 

スーツの人もいるし、民族衣装を着ている人もいる。いろんな世代の人たちが団結して、今の世界がある。その受け継いできた世界をなくさないため、人々を奮起させるためにこの絵を描いたのではないか、と考えました。

 

芸術は人々の思いを、アクションを変えていく。

そんな力を秘められているからこそ、もっと多くの人に見てもらいたいと思います。