笑って泣いて怒って全てをさらけ出せるあったかい場所。
こんにちは。
ツナです。
フィリピンのミンダナオ島、カガヤンデオロ市に「マカバラン公立高校」という学校があります。
上の女の子、素敵な笑顔ですね。何をしていると思いますか?
これは国語(フィリピノ語)の授業で、フィリピノ語の音楽の歌詞を絵に書いて、みんなの前でプレゼンをしている様子です。
しかし、彼女はある傷を負っています。彼女は両親が離婚してしまい、そして、母親が逮捕され、今親がいないのです。自分で平日働いて、生計を立てています。
このマカバラン高校にはオープン・ハイ・スクール・プログラムと呼ばれる(いわゆる)日曜日、ドロップアウトした生徒のために開校して教育機会を提供する制度があります。
「ドロップアウト」
これにはいろんな理由があります。
平日働かなければいけないため、学校に行けなくなった。
早期妊娠・早期出産のために、学校を続けることが困難になった。
兄弟の世話をしなければ行けず、学校をやめた。
親から教育への関心を向けられず、学校をやめざるを得なかった。
義理の父からの性的虐待の傷から、学校にいく力を失ってしまった。
ドロップアウトだけではありません。
40歳の女性も学び直したいという、息子とともにこのプログラムで学習しています。
多様性が溢れるこの学校。
それぞれが何かの傷を抱えながらも、日曜日学校に来ています。
しかし、この日曜日だけはみんな自分の全てをさらけ出せるんです。
ここでは、バックグラウンドに関わらず、笑ったり、泣いたり、怒ったりできるんです。
マカバラン高校の先生はこのプログラムの意義は
「この日曜日は、学校を彼ら生徒たちにとって、全てをさらけ出せる場所」だと言っていました。
平日は仕事詰めで友達とも関わる時間もない。授業も厳しくするべきではない。実生活と学びを結びつける教育やストレスを感じないように、場所を制限せずに授業を行なっています。
先ほどの彼女のプレゼンは将来どのようになりたいか、というテーマでした。
彼女の絵に描かれているのは、彼女、兄、家、教会です。
彼女は自分のことを語りながら、どういう自分になりたいか、家族とともにどうなりたいかという話をしてくれました。
しかし、彼女の絵には、親の姿がありません。
そのことを先生が尋ねると、今までの家庭の状況や今のことを話してくれました。
彼女は泣きながら、必死に伝えてくれました。
いつもは可愛い笑顔で学んでいる彼女が泣いたんです。
この時僕は、自分に何もできない、というよりも、彼女が素の部分を出してくれたことの方が嬉しく思いました。
きっと彼女は日々仕事をしながら、そのことをあまり思い出さないようにしていたと思います。
他の人に自分のことを話すのって勇気がいるんです。
僕自身も自分のことを言うのが苦手です。
話すことで変わることがたくさんあります。
でも、そういうことを言える場所って案外ないんですよね。
自分の弱い部分や悩みを言える場所、それがこのマカバラン高校のオープン・ハイ・スクール・プログラムだと思っています。
先生も生徒たちのバックグラウンドに配慮しながら、授業の内容や場所を考えています。
勉強場所を指定せず、好きな場所で学んでいいよ、と日々のストレスから解放してあげたり、歌を歌ったり。
なんて素敵な場所なんだって思わせてくる場所です。
こうやって互助の関係を築いていける場所ってとてもあったかい。
もっと人を繋げられたら、もっといろんな人と関わっていける環境ができたら、いろんな化学反応が起きるんじゃないかな。
大学生チューターであったり、親であったり、地域の人たちであったり、この輪を広げていくことができたら、学校のみならず地域自体があったかくなるんじゃないかな。
こんな場所をもっともっと増やしていきたいな〜。