可視化されたフィリピンの学校における多様性。

 

こんにちは。

 

 今日は、僕がフィリピンで向き合ってきた教育論についてお伝えできればな、と思います。

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フィリピンにはオープン・ハイ・スクール・プログラム(以下OHSP)というプログラムがあります。

 

では、まずOHSPの成立の背景からご紹介します。

 

経済的な理由で働かなければならず、毎日学校に通えない生徒、早期妊娠により中退を余儀なくされた女子生徒、兄弟の世話をしなければいけなくなり中退した生徒。このような彼ら彼女らのための受け皿として成立した制度がOHSPでした。

 

ちなみに、OHSPAlternative Delivery Modeという既存の教育システムでは補完できない生徒への代替策の一環として盛り込まれています。

 

今回の記事では、このAlternativeというワードが鍵になります。

 

 

OHSP上記のような生徒のための受け皿として機能していることが政府が考える健全な形です。

 

 

しかし、OHSPには本来通常のクラスで少しのサポートがあれば、成績が上がったり、家計的にも厳しくない生徒が年々増加していました。

 

 

そして、現在では、OHSPに参入している生徒数が膨大になってしまったのです。

 

 

生徒たちにインタビューや入学理由の調査をしてみると、毎日学校に行かなくていいからとか、通常のクラスが面白くないからきたという生徒が相当数いることがわかりました。

 

 

その結果、受け皿に行けばいいからと、通常のクラスについていけなくなってしまったわけです。

 

 

すると、どうなるか。

 

 

この受け皿の中に存在する数ががあまりに大きくなりすぎると、政府が定めている既存の教育システムが崩壊しかねない状況に陥ってしまいます。

 

 

先ほど書いたように、OHSPはあくまでAlternativeな教育システムで、多くの生徒が参入してくることは想定していないわけです。

 

 

しかし、予想に反して、OHSPのコンテンツ自体の改善や知名度の向上、新カリキュラム移行における不安定さ、そして今まで見えてこなかった生徒の多様さにより、OHSPの規模が膨大になってしまったのです。

 

 

 

でも、これって悪いことなんでしょうか??

 

政府の視点からすれば、代替策となる教育システムにあまりに多くの人数が多くなりすぎることは、政府が提供するメインの教育システムの不安定さを露呈させ、国際的にいえば不利になるでしょう。

 

となると、ここに人数のレギュレーションがかかるかもしれません(多分そろそろかかる)

 

 

一方、現場的な目線で言わせてもらうと、

 

 

僕はここに関しては、悲観していません。

 

 

このOHSPにおける生徒数の増大は、フィリピンにおける学校に所属する生徒の多様さを可視化させたと思っています。

 

 

もともと誰1人として、同じ人間はいないわけで、みんなにあった教育法というのは存在しないと言っても過言ではないんですよね。

これは全世界共通の話なわけで。

 

 

ストリートチルドレン貧困層の子達には、NGOや国際機関などのサポートが入ってきていてわかりやすかった。

分類しやすかったわけです。

 

 

しかし、さらにその奥の通常のクラスには通えるけど、何か課題を抱えている生徒までは可視化されてこなかったんです。

 

それも含めて、「学校に行けない子」という括りでした。

「学校に通える子」と「学校に行けない子」というのが今までの認識だったわけです。

 

その「学校に行けない子」をサポートしていたのがNGOや国際機関だったりでした。

 

だから、僕たちe-EducationOHSPへの支援をし始めた時、ここには教育を受けたくても受けることができない生徒たちばかりいるんだって思ってたんです。

 

 

でも実態は違った、というのが現状です。

 

この多様性が教育プログラムの中で可視化されたことは、フィリピンの教育において大きな意義を生んだと思っています

 

 

OHSPにはもっと違うバックグラウンドを持っていたり、中には(いわゆる)学習障害を持っている子もいたりします。

 

 

しかし、それは、こぼれ落ちた生徒は何もドロップアウトしたわけではなく、多様性が溢れる中の1つのシステムに存在する要素にマッチしなかっただけの話です。

 

 

ここで大事なことは、1つの教育スタイルを1つで完結させないことです。

 

どういうことか、簡単に言えば詰め込みもあるし、テクノロジーも使うし、伴走してくれるチューターもつけるし、その生徒に合わせた学習スタイルを混ぜ込んでいき、最適解に導いていく。

 

正直、 めちゃくちゃ難しいです。

ポンポンできるわけではなく、先人の教訓も含め、蓄積させていく。

 

その結果、見えてくるものがあります。

 

もちろんここの現状に関して言えば、超えなければいけない課題は数多くあります。

 

それはNGO単体だけでは変えられないし、教育省単体でも変えられない。

 

NGOの連帯や、教育省と企業との連携、あらゆる繋がりにより少しずつそれぞれにあった教育が見出されていくと思っています。

 

 

いろんな形がある中で、まだ始まったばかりのフィリピンの教育制度。

 

 

僕は2/1で一旦帰国するのですが、

 

主体者であるe-Educationの挑戦をこれからも見ていただけたらうれしいです。

 

それでは。