人をマネジメントする上で大事な3つのこと〜「おおきく振りかぶって」28巻が教えてくれる極意〜
みなさん、こんにちは。
ツナです。
今回は僕が取り組んでいることと野球マンガの「おおきく振りかぶって」の新巻である28巻で繋がるところがあり、いい機会だと思ったのでシェアしようと思います。
最近何してるのか
僕は現在、フィリピンの現地行政・大学機関と協力して、オープン・ハイ・スクール・プログラム(OHSP)と言う中退者向け卒業認定取得プログラムの支援をおこなっています。
この支援の枠組みを「チュータープログラム」と言います。
具体的な内容としては、現地の大学生が中学生にチューターとして、クラス内の学習支援をします。
このプログラムを導入してから、今まで課題だと感じていた事が解決され始め、さらに新たな課題が可視化されてきました。
僕は約20人のチューターたちのメンタリングやミーティングでのファシリテーションを主に行なっています。
しかし、チューターたちが担う役割は重要でありかつ負担が結構大きいんです。
OHSPの生徒は普通のクラスの子達とは異なり、働いていたり、早期出産していたりなど様々なバックグラウンドを背負っている子達ばかりです。
そんな彼らのことを尊重しながら授業を行うことが求められます。
さらに学力の低い生徒が多いため、基礎から教えなければならなかったり、かつカリキュラムに沿った授業をしなければならず、彼ら自身で担当の生徒がどうしたら理解してくれるか、どうしたら楽しいと感じてもらえるかを考えなければなりません。
やらなければいけないことが盛りだくさんなんです。
そんな大学生という同年代の僕が彼らをマネジメントするなんておこがましいんじゃないかと思ったこともありました。
しかし、OHSPという生徒たちの学習の場をより良いものにしていくためには、やらなくてはなりません。
言い訳はできないのです。
だからこそ、彼らを支えるために、何ができるか、彼らがチューターをやってよかった、生徒も楽しいと思ってもらえるためには何ができるかということを日々考えて過ごしています。
その中で偶然「おおきく振りかぶって」28巻を読んでいて、やっていることが一緒だ!と思わず興奮しました。笑
もともと単行本を集めてはいたのですが、今回はドンピシャなトピックだったのでシェアしたいなと思います。
テーマは、人をマネジメントする上で大事な3つのことです。
- マイナス思考をチームから消し去る
- 失敗を責めない
- 目標達成のプロセスを具体的にイメージする
1. マイナス思考をチームから消し去る
〜おおきく振りかぶって28巻 p72より〜
マイナス思考になっている時ってそれがマイナスだって自分じゃ気づいてない時が多いんだ
でも周りの人間はマイナスな独り言はすぐわかる
聞いた人間のやる気はマイナスな独り言にびゃーと冷や水をかけられるからな
マイナス思考の人間が1人いるだけですっごくチームの足引っぱる
チームの中に1人でもマイナス思考のヤツがいたらダメなんだ
全員がプラス思考にならないと100%の力を出せない
〜おおきく振りかぶって28巻 p71-72より〜
ここで出てくる大学でメンタルトレーニングを学んでいる小松崎という学生が主人公のチームのトレーナーとしてきてくれます。
彼は野球において技・体は鍛えているのに、心の部分、いわゆるメンタルトレーニングが軽視されていることに問題意識をもち、メンタルの重要性について言及してるのですが、まさにそうなんですよね。
1人でもマイナス思考の人がいたら、他のポジティブなマインドを持つメンバーにまで影響が及んでしまいます。
マイナス思考の状態ってすごいチームの雰囲気が悪くなるんですよね。
毎週、振り返りミーティングを行うのですが、そこでは「うまくいったことのシェア」と「難しいと感じたことのシェア」、「その対処法のディスカッション」について話し合います。
なぜこれを行うか、、、
その理由は他でもない、チームからマイナス思考を消し去るためです。
特に大事なのが「難しいと感じたことのシェア」と「その対処法のディスカッション」です。
「難しいと感じたこと」はいわば彼らにとっての課題なわけです。
次の授業まで彼らの課題を放っておくと、マイナス思考のまま生徒のチュータリングに入ってしまいます。
その状態では、生徒にもチューターのぎこちなさやテンションが移ってしまい、楽しくやろうとしても、うまく機能しません。
まさに「100%の力」を毎回発揮するための大事なミーティングなのです。
ミーティングで自分のできないと思っていることをみんなにシェアすることで、他の人も同じように悩んでいるんだということを認識できます。
じゃあ解決するために何が必要かということをみんなでディスカッションを通して、仲間意識が強くなります。
ここで、頑張ろうという意識が芽生えるのです。
さらに、毎回大学生チューターにはレポートを書いてもらい、自分のうまくできたノウハウや悩んだことなどを書き起こして、僕に送ってもらっています。
だいたいレポートからそれぞれの悩んでいることや抱えている課題が見えてきます。
それを参考に振り返りミーティングでは、どんなことを話すか、どんなテンションで臨むべきなのかを組み込みます。
2 (1). チューターの失敗を責めない
〜おおきく振りかぶって28巻 p82より〜
二つ目の極意は「失敗を責めない」ということです。
特に僕はこの「失敗」を「失敗」と捉えず、次への一歩と感じてもらうにはどうしたらいいかということを意識しながら、振り返りミーティングと準備ミーティングをファシリテーションしています。
チューターを始めて最初の振り返りミーティングでは、彼らの予想していたクラスや生徒の状況とリアルの状況に大きなギャップがあることで悩んでいる大学生チューターが大勢いました。
しっかりみんなで教科書を読み込んだり、どう教えたらいいのか、考えてきたはずなのに、うまくいかなかったという「失敗」をどう捉えるかが大事なわけです。
ネガティブに自分には力がないと思うのか。
それともポジティブに次に繋がるものを得ることができたかと思うのか。
「今回は先週とは違うことを実践した。新たな課題が見えたけど、それは自己の成長の種だ。次はこう工夫したら生徒たちは理解してくれるんじゃないか」とPDCAを回していけるかで彼ら自身の成長は圧倒的に変わります。
しかし、これを実践してもらうためには、指導者もしくはメンターの声がけが大事になってきます。
「おおきく振りかぶって」では、女性監督であるモモカンが「いいミスだよ!」と声をかけていますね。
ミス(失敗)=トライしていることなのだから、徹底的に褒める。
褒めることで、さらにトライするようになり、自分のできることとできないことがどんどん明確になっていきます。
チューターが自身で工夫して取り組んでいることに意見するのではなく、まずは褒める。
その上で、彼ら自身の実感としてそれが成功だったのか、うまくいかなかったのかを明確にすることで次に繋げていくことが可能になります。。
「失敗」を「失敗」ではなく、「成長の種」と捉えてもらう
小さな成功を積み重ねる場所にすることで、チューターたちの自己肯定感を向上させる場所にするんです。
2 (2). 生徒の失敗も責めない
上記では、チューターだけにフォーカスしましたが、この失敗を責めないということは、チューターたちが生徒に対して支援するときにも意識してもらっています。
OHSPの生徒たちの多くは基礎的な問題も解くことが難しいと説明しました。
できないことを悪いのではなく、基礎的なところからでいいから、できた!という経験を積み重ねてもらうことが大事だと思っています。
理解できないから、楽しくないし、授業を聞かなくなってしまう。
そんな彼らを置き去りにしては、何も変わりません。
小さなことでいいから、成功した!という感覚を持ってもらう。
その小さな成功を積み重ねていくことで、授業を楽しい!自分でもっと勉強したい!と思ってもらうことを目標にチューターたちには活動してもらっています。
これは、簡単なことではなく、時間がかかることです。
それでも、成績をあげることよりも先に、学習というものを通して、成功体験を積む。楽しいと思う。自信に繋がる。自分で関心のあるものを学ぶ。
このサイクルが今彼らに必要なことだと思っています。
それを実現させるためには、チューターの力が必須だからこそ、授業後のメンタルケア・トレーニングが大事だと実感しています。
3. 目標達成のプロセスを具体的にイメージする
〜おおきく振りかぶって28巻 p111より〜
そして、3つ目に大事なことは目標を達成した状態を具体的にイメージすることです。
キャプテンの花井が「甲子園優勝です!」と言います。
なぜ小松崎が聞いたのか、というと目標はあっても到達したイメージがなければ、実現することはできないからです。
チューターたちの目標は「生徒たちに数学を楽しいと思ってもらう」と設定しています。
これを達成するために、毎回事前にレポートに目標達成のために何が必要かを自分で考えて設定してから臨むように促しています。
さらに僕もイメージすることを日々意識しながら、活動しています。
特に、5W1Hを意識しています。
When: いつ都合がいいのか
Where: どこで話すのがいいのか
Who: 誰を巻き込んだらうまくことが進みそうか
What: なにを伝えるべきなのか
Why: なぜミーティングやプロジェクトが必要なのかを伝えること
How: どのように組み立てたらうまくいきそうか
例えば、プロジェクトを行うためにある学校の校長先生と交渉をしなければならない、とします。
ここでいうゴールは校長先生を説得する、です。
では、どうしたら達成できるのかということを考えます。
連絡しても返ってこないことも考えられる。では、どうしたらいいか。
他に繋がりのある人のコネクションを活用し、アクセスを測る。
ここではまだ信頼関係というものはまだ構築できていないので、いきなりオフィスを訪問するのではなく、最初はランチやディナーを一緒に行って、相手が話しやすい状況、心地よいという状況を作る。
ここでは、まずはプロジェクト云々よりも相手のことを聞くこと、自己開示をすることを意識します。
その上で、本丸であるプロジェクトやりたい、という話を次のオフィスでのミーティングまで持っていき、資料を作成したり、どうしたら相手がうまく納得してくれるかということを前もって組み立てて、筋道を立てておく。
もちろん全て段取り通りにいくわけではないので、リスクを洗い出しておきます。
目標達成率を上げるために、具体的にイメージすることが大事だとフィリピンにきて、より一層感じています。
最後に
最後に、一つの本を紹介させてください。
認定NPO法人Teach for Japan元代表の松田悠介さんはこの本の中で、
教師ほど早く成長できる職業はない
と綴っています。
なぜか。
大きく3つあります。
- ベテラン・新人関係なくクラスをまとめるリーダーになるから
- どんな方法だと授業を理解してくれるのかを考えるのはその先生だから
- 他の先生が変わってくれることは基本的にないから
これを踏まえた上で、企業がTeach for Americaを評価する能力が
- リーダーシップ
- コミュニケーション能力
- 課題解決力
であると、書いています。
まさにこれです!!
自分が担当する生徒たちをリードし、まとめていかなければならない状況に置かれます。
また、彼らにうまく、面白く伝えるためにはどうしたらいいのかという事を考え、コミュニケーションを取ることが求められます。
さらに、自分の工夫したことがうまく機能したか、機能しなかったかを分析し、次のアクションにつなげるPDCAの課題解決能力が自然と身につく環境に身を置かなければなりません。
これによりチューターたちは先生になった時に、この経験が必ず役に立ちます。
チューターたちがこれからのカガヤンデオロ、ひいてはフィリピンを代表する先生になると確信しています。
そして、彼らのみならず、僕自身も同じように彼らのメンタリングやファシリテーションを通して、日々成長させてもらっています。
共成長!!
これを合言葉に残り5ヶ月、さらに前へ進んでまいります!!
最後まで読んでいただきありがとうございました。